|TMSジャパンとは | スタッフ紹介 | TMS関連リンクTMSネットワークサーノ教授について

TMS理論について

TMSとは

 TMSとは、「Tension Myositis Syndrome」の頭文字からとった略称で、日本語に訳すと「緊張性筋炎症候群」ということになります。しかし、「筋炎」といっても筋肉に「炎症」があるという意味ではなく、筋肉内に何らかの変化があるという意味でしかありません。この理論を開発したジョン・E・サーノ博士は、TMSの定義を「痛みを伴う筋肉の生理的変化」としています。

 またTMSは、これまで単独の病気によって生じると考えられていた筋骨格系のさまざまな症状を、ひとつの症候群としてまとめたものです。たとえば、肩こりと呼ばれている首や肩、背中の痛みをはじめ、腰痛、臀部痛、上肢や下肢の痛みやしびれ、さらに四十肩、五十肩と呼ばれる肩関節の痛み、肘、手首、股関節、膝、足首の痛みまで、これらはすべて共通した原因によるひとつの症候群だと考えます。

 これは、サーノ博士の長い臨床経験の中から導かれた結論で、以下の表に示す疾患のすべてをTMSとして取り扱います。なぜなら、これらの症状はTMS治療プログラムによって、95パーセント前後の確率で改善させられるからです。

椎間板ヘルニア
変形性脊椎症
脊椎分離症
脊椎辷り症
脊柱管狭窄症
脊柱側彎症
椎間関節症候群
腰仙移行椎
潜在性脊椎披裂
変形性関節症
肩関節周囲炎(五十肩)
腱板損傷
テニス肘
手根管症候群
滑液包炎
線維筋痛
筋肉リウマチ
筋膜炎
尾骨痛
足底筋膜炎(踵骨棘含む)
神経腫(モートン病)
ハムストリング筋断裂
シン・スプリント
多発性単神経炎
顎関節(TMJ)症候群
反復性ストレス障害
捻挫・疲労など

 

TMSの標的組織

 

 緊張性筋炎症候群というからには、主に筋肉の疾患と思われるかもしれませんが、研究が進むにつれて筋肉以外の組織にも同じ病態が存在することがわかってきました。それは「神経」と「腱・靭帯」という組織です。つまりTMSは、3つの組織に生じる症候群ということになります。

 筋肉がTMSに冒された場合、その症状は四肢の筋肉というよりも、いわゆる「姿勢筋」と呼ばれる部位に現れやすい傾向があります。姿勢筋とは、首の後ろ側、肩の上部、背中や腰、そして臀部の筋肉を含み、姿勢を保つとともに腕の運動を助ける働きがあります。

 興味深いのは、ある特定の筋肉に痛みが生じるだけではなく、かなり広範囲にわたって痛みを感じたり、複数の筋肉に痛みを訴える患者が多いことです。しかもその痛みは、日によって強さが変わったり、移動することさえあります。

 神経が冒された場合は、主に神経痛となって現れます。もっとも多くみられるのは、臀部や太ももの後ろからふくらはぎにかけて、あるいは脛(すね)にかけての痛みやしびれです。こうした症状を坐骨神経痛といいますが、ときには爪先をそらす力が弱かったり、つま先立ちができないという、筋力低下がみられることもあります。

 次に多いのは、腕から手にかけて痛みやしびれが生じる上腕神経痛です。この場合も痛みだけでなく、握力が弱くなったり指先の感覚が鈍くなることがあります。他にも肋間神経痛や顔面神経痛などがありますが、神経が通っているところは、すべてTMSに冒される可能性があります。

 神経がTMSに冒されると、実にさまざまな症状が現れます。痛みだけをとっても、刺すような痛み、電気が流れるような痛み、切られるような痛み、燃えるような痛み、ズキズキする痛みを訴えます。また、しびれるといっても、チクチク感、冷感、温感などの他、触っても何も感じないことさえあります。まれにですが、腱反射が弱くなったり消失したりもします。

 腱は筋肉と骨の付着部にある組織で、靭帯は骨と骨とを連結させている組織です。これらの組織がTMSに冒されると、関節痛や腱痛といった症状が現れます。

 

TMSは増えている

 厚生労働省の「国民生活基礎調査」によれば、今現在、日本人が自覚している症状の第1位は「腰痛」、第2位は「肩こり」、第3位は「関節痛」です。この統計調査によると、日本には今、1000万人近くの腰痛患者がいることになり、肩こりと関節痛を含めると、2500万人が筋骨格系の痛みに苦しんでいる計算になります。

 とりわけ腰痛は、約10年前からの推移をみると確実に増えています。とくに最近では、急激に21パーセントも増え、実に人口増加率の70倍に達しています。

 同じく厚生労働省の「患者調査」によると、筋骨格系疾患の受診率は30年前に比べると3倍に増えています。 一方、胃・十二指腸疾患は少しずつ減少しつつあり、筋骨格系疾患より多かったものが逆転し、30年前より25パーセント減少しています。しかも両者の差は、今後さらに広がる傾向をみせています。

 ご承知のように、今や日本の年間国民医療費は30兆円を越えています。なかでも循環器系疾患(脳血管疾患、高血圧性疾患、虚血性心疾患など)、新生物(悪性腫瘍)、内分泌・代謝疾患(糖尿病など)といった、いわゆる「生活習慣病」に使われる医療費が増えています。

 ところが、筋骨格系疾患に使われる医療費の伸び率が、上記の疾患に次いで第4位というのはあまり知られていません。それも、他の疾患の伸び率は、ほぼ横ばい状態かやや減少しているにもかかわらずです。

 1997年度の調査によると、筋骨格系疾患の治療に約2兆円が使われているといいます。しかし、医療施設を受診する腰痛患者は全体の42パーセントに過ぎず、患者の半数以上は健康保険が使えない代替医療や市販薬などで対処しています。となると、筋骨格系疾患の治療費は、少なく見積もっても4兆円はくだらないでしょう。これは世界中の地雷をすべて除去してもおつりがくる金額です。

 

TMSが増えるわけ

これはいったいどうしたことでしょう? 従来の医学は役立たないのでしょうか? どこか間違っていたのでしょうか? なぜ筋骨格系疾患の増加を食い止められないのでしょう?

 TMSが増えている理由は5つ考えられます。

 まず第1の理由は、命にかかわらない病気だからです。筋骨格系疾患は、悪性腫瘍や感染症などがないかぎり、命を落とすような事態にはいたりません。ですから、医学界は本気で取り組んでいない可能性があります。たとえば、急にはじまった腰痛は、40パーセントが1週間以内に、60〜85パーセントが3週間以内に、90パーセント以上が2ヶ月以内に治ります。2週間以上痛みが続くのは、わずか14パーセントにすぎないという報告もあります。となれば、医学界が自然に治るのを待つという消極的な態度をとるのも、不思議ではありません。

 第2の理由は、本当の原因が解明されていないからです。たしかに現代医学は目覚ましい進歩を遂げてきました。レントゲン撮影をはじめ、CTスキャン(コンピュータ断層撮影法)やMRI(核磁気共鳴画像診断法)といった驚異的な診断技術も開発されています。ところが、筋骨格系疾患の85パーセント以上は、症状と理学所見や画像所見が一致しないため、はっきりした診断を下すことができないのです。原因がわからなければ、筋骨格系疾患が増えるのも当然です。

 第3の理由は、効果的な治療法がないからです。原因がわからなければ、症状を取り除くことは不可能です。しかし、すべての治療法に効果がないという意味ではありません。治療によって治ったのか、それとも自然に治ったのかは、まだ科学的に証明できていないということです。それに何よりも、多くの統計が示しているように、今ある治療法で筋骨格系疾患が減らないのは明らかな事実です。

 第4の理由は、慢性化したり再発を繰り返すからです。たしかに、筋骨格系疾患の85パーセントは2週間以内に治ります。それにもかかわらず増え続けるのは、いつまで経っても痛みが治まらず、どんな治療を受けても治らない慢性の痛みがあるからです。それにくわえて、何度も再発する傾向もあります。これが筋骨格系疾患の増加という形となって数字に表れているのです。

 そして第5の理由は、わたしたちは「現代の呪い」にかけられているからです。医学界だけでなくあらゆるマスメディアは、よってたかって患者に否定的な信念を植えつけています。 筋骨格系疾患の原因は、老化現象・筋力低下・不良姿勢にあるというのがそうです。重い物を持ってはいけない・腰を反らせてはいけない・柔らかいマットレスに寝てはいけないという警告も同じです。あげくの果てには、腰痛や肩こりは「直立二足歩行する人類の宿命だ」とまでいい出しました。

 昨今ではこうした誤った情報、しかも否定的な信念を抱かせる情報が氾濫しています。これらは、あたかも黒魔術の呪文となって人々を襲い、身体はガラス細工のように脆いものだと信じ込ませてしまいました。医学界ではこうした否定的な信念を、「ノーシーボ」と呼んでいます。

 最近の医学界では、肺ガンにおける喫煙や、結核における結核菌と同じように、ノーシーボも立派な病因だという認識が芽生えてきました。病気の発症率と死亡率を高めているのも、ほぼ間違いないといわれています。ハーヴァード大学医学部心身研究所のハーバート・ベンソン所長は、こう述べています。

  『これ(ノーシーボ現象)は、われわれの医学が著しく軽視してきた問題である。医師に助けを求めてくる患者の、60〜90パーセントは薬も手術も効果がない。したがって、信念体系を含む、心身を制御する技法が求められている』(注:括弧内は筆者)

 ここで筋骨格系疾患が増える理由をまとめておきましょう。

  1. 生命の危険がないので医学界が軽視している。
  2. 筋骨格系疾患の原因は不明である。
  3. 有効な治療法は確認されていない。
  4. 慢性化したり何度も再発する傾向がある。
  5. 現代人は呪いをかけられている。

 ただ、誤解のないように付け加えておきますが、医学界が本気で取り組んでいないというのは正確でないかもしれません。医療関係者は、例外なく患者さんのために手を尽くしているからです。それに、悪気があって呪いをかけている人はひとりもいません。教科書に書いてあることを素直に信じ、それを呪文のように患者さんに伝えているだけなのです。

 

TMSの原因

 サーノ博士は、TMSの直接的原因は、血管収縮による虚血状態だと考えています。つまり、自律神経系を介して血管が収縮し、患部の血液循環が悪くなって、軽い酸素欠乏が起きているというのです。この血管収縮が生じることで、患部では次の3つが起きていると考えられます。

 第1に、化学的老廃物の蓄積です。この老廃物は主に乳酸という疲労物質ですが、通常は血液循環によって洗い流されるため、蓄積されるということはありません。ところが血管収縮にともなって血流量が減少すると、筋肉内に発痛物質でもある乳酸が蓄積し、筋肉痛を引き起こしてしまうのです。

 第2に、筋肉痙攣(けいれん)です。血流量の減少によって酸素欠乏がより深刻になると、筋肉が痙攣しはじめます。この痙攣は、ふくらはぎの筋肉痙攣(こむらがえり)と同じものですが、自律神経を介して血管が収縮しているために、短時間で治まるということはありません。たいていは治まるまでに数日かかりますが、ここでおかしな呪いをかけられると、数週間から数ヶ月にもおよぶことがあります。

 第3に、神経障害です。神経は筋肉よりデリケートにできていて、ほんのわずかな酸素欠乏でも症状を出して危険を知らせます。つまり、筋肉はかなりの酸素欠乏にも耐えられますが、一方の神経は酸素欠乏にとても弱いのです。神経を養っている血流量の減少は、上腕神経叢(腕の神経)や坐骨神経のような末梢神経の酸素欠乏を引き起こします。一般的な酸素濃度の低下による症状は痛みですが、さらに酸素濃度が低下した場合、さまざまな程度の知覚異常や筋力低下をきたすことがあります。

 では、どうして自律神経系が血管を収縮させるのか、という疑問が出てきます。サーノ博士はTMS、すなわち緊張性筋炎症候群の「緊張」の意味について、次のように述べています。

  『この疾患名の「緊張」は、無意識下で生み出され、ほとんど無意識の外に出ることのない感情を指す。その多くは、不快、苦痛、きまり悪さを伴う感情で、本人にも社会にも受け入れられず抑圧される。抑圧が起きるのは、これらの感情を味わいたくない、これらの感情を抱いていることを周りに知られたくないと心が思うからだ。自覚できるのであれば真正面から向き合おうとするのだろうが、いかんせん、人間の心は無意識下の感情を自覚するようにはできていない。またたくまに、それも自動的に、これらの感情を抑圧してしまう』

 つまりサーノ博士は、ある感情が「抑圧」されることによって、TMSが発症すると考えているのです。「抑圧」とは、心の安定を保ち、精神的破局を避けるための、意識的・無意識的な心の働きである「防衛機制」のひとつです。いわば心の安全装置といえるものです。

 それほどまでに忌み嫌わなければならない感情とは、いったい何なのでしょう? 心の痛みよりも、身体の痛みの方を選択させる感情とは何でしょう? わたしたちはどんな感情を恐れているのでしょう? 自分自身を見失ってしまったり、パニック状態に陥るような感情などあるのでしょうか?

 あります。それは――怒り・激怒・憤怒・憤激――です。TMSの原因となっているある感情とは、実は「怒り」なのです。これがTMSの根本原因です。わたしたちの心には防衛機制という安全装置があるために、ひょんなことから生まれた怒りに気づくことがありません。その感情の存在に気づかないがゆえに、TMSが発症するのです。

BACK

 

 |TMSジャパンとは | スタッフ紹介 | TMS関連リンクTMSネットワークサーノ教授について