腰痛治療最前線―TMSジャパン公式サイト-図書室



腰痛に関する迷信を捨てろ! TMSジャパン

10月11日(月・祝)目黒さつき会館で「根拠に基づく腰痛治療入門」の講演会があった。内容は「腰痛をめぐる諸問題」「根拠に基づく診断」「根拠に基づく治療」「根拠に基づく予防」「意思決定の共有化」など。

講師はTMSジャパン代表の長谷川淳史氏である。長谷川氏は多くの著書や訳書があり、腰痛に関する最新情報のの発信に努めている。『急性腰痛と危険因子ガイド』(春秋社)、『腰痛ガイドブック―根拠に基づく治療戦略』(春秋社)、『腰痛は終わる!―世界の診療ガイドラインに基づく最新の腰痛治療』(WAVE出版)など多数ある。

腰痛に関する間違った認識が日本にはまだまだ多い。「腰痛は安静にして寝ていることが一番だ」というのが日本では常識になっているが、世界中のどの論文を読んでも安静にしていて腰痛が改善されたというデータは一本もない。重い物を持ったことが原因だとか、重労働のせいだとか、そうしたことは何の根拠もないのだそうだ。迷信や神話に我々は振り回されているだけなのである。現に腰痛を放置して完治した例が70パーセント以上もあり、自然に治ったり、プラシーボ効果であったり、治療による効果かどうか怪しいケースが多々あるのだ。

世界の研究者が発表している論文やレポートをリサーチした長谷川氏はこう語る。1994年にアメリカ政府が世界初の腰痛診療ガイドラインを発表したのを皮切りに、世界各国で次々と腰痛診療ガイドライン作成されるようになり、その数は2010年現在で少なくとも17を数えます。そこで発表されたガイドラインとまったく逆のことを言う治療家が日本にはまだたくさんいます」。

腰痛の概念は、「生物学的(物理的・構造的)損傷」モデルから、「生物・心理・社会的疼痛症候群」へと変化している。この新たな腰痛概念が世界のスタンダードである。日本の治療家も、腰痛に関する新しい認識が必要である。


カイロタイムズ 77号 2010年11月1日付

トップへ戻る.




Copyright © 2000-2011 by TMS JAPAN. All rights reserved.