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西田勲の日曜インタビュー

このテキストは2001年5月15日(日)、FMりべーるの「西田勲の日曜インタビュー」という番組で45分間にわたって放送されたものです。


西田勲の日曜インタビュー



西田:おはようございます。日曜インタビューの西田勲です。今、『腰痛は〈怒り〉である』という大変奇抜なタイトルをつけた本が全国の書店に並べられ、注目を集めていますが、実はこの本を書いたのは旭川で治療院を行なっている長谷川淳史さんである事はあまりよく知られていません。この本は、腰の痛みと心の不思議な関係について書かれているのですが、今朝はその長谷川淳史さんのご紹介を兼ね、この本の内容などをお尋ねし、色々とうかがってみました。

西田:おはようございます。

長谷川:おはようございます。

西田:長谷川さん、これはですね、すごく奇抜なタイトルですよね?

長谷川:ええ。

西田:『腰痛は〈怒り〉である』。

長谷川:はい。

西田:このタイトルはどなたがお付けになったんですか?

長谷川:あのぅ、タイトルを決めるにあたって相当悩んだんですよね。

西田:ええ。

長谷川:図書館とか書店とかまわって、全部タイトルを見たんですよ。それで案としては40点ぐらい考えついたんですけど、どうしても決めかねていて……、従来の腰痛の本と全く形態が違いますからね。ですからどうしようかと考えて、結局マルカツのブックセンター冨貴堂MEGAの店長に決めていただきました。

西田:ああ、そうですか。

長谷川:はい。で、このタイトルがかなり評判が良くて、タイトルが気になってしょうがないという理由で購入してくれている方がかなり多くいらっしゃいます。

西田:旭川の冨貴堂MEGAの店長さんが付けられたと。

長谷川:はい。中村店長です。

西田:はぁ、そうですか。

長谷川:もう頭が上がらないです。(笑)

西田:(笑)随分売れているそうですね。

長谷川:そうですね。全国的に売れていますし、発刊して半年で海外から翻訳出版のオファーがきています。

西田:ほぅ、そうですか。

長谷川:もう5刷目に入っていますし、「アマゾン・ジャパン」というインターネット上の書店、去年立ち上がりましたけど、立ち上がった当初から医療関係の3部門でずっと第1 位です。

西田:そうですか。

長谷川:ええ。今日で丁度立ち上がって22週連続第 1 位です。

西田:ほおー。

長谷川:医療関係では現在6部門第1位で6冠王なんです。

西田:ところで、長谷川さんは旭川の市内で一応治療院を開業している形にはなっているんですが、

長谷川:はい。

西田:なにかあの、ほとんど患者さんの所に赴いているという話も聞いているのですが。

長谷川:そうですね。往診専門でやっています。

西田:ほぅ。で、自宅ではつまりこれをインターネットとかそういうことを主にやっておられるのですか?

長谷川:そうですね。それであのぅ、まあ次の本の企画とか、この本の続編とかの企画もやらなきゃならないですし、あと一番多いのが全国からの50通から100通のメール相談ですね。愛読者カードとか、手紙とか、直接電話がかかってくる事もあります。

西田:それは相談というのは無料相談なんですか?

長谷川:そういうことになりますよね。

西田:じゃあ大変ですね。だからその、治療しているよりもそちらの時間がとられるということですか。

長谷川:それが多いですね。朝の3時から4時くらいまでかかりますから。

西田:その3時から4時までというのは?

長谷川:メール相談と、今締め切りのある原稿の仕事です。ですからそれが3時から4時まで。これはもう1年半こういう生活続けてますから、そろそろ限界に近いです。

西田:ちなみに治療している方というのは1日何人位なんですか?

長谷川:今そんなにたくさんは……どんどん減ってきていますね。この本が出てからはやっぱり、この本を読むだけで治ってしまう方が多いのでね。今では全世界で50万人以上の慢性腰痛の患者さんがこの本を読んで治ってるんですよ。

西田:不思議ですねぇ。

長谷川:ええ。でもまぁ、不思議でもなんでもないんですけどね。

西田:そうですか。まぁ、おいおいこれからその話を聞いていこうと思うのですが。長谷川さんはどういったきっかけでこの腰痛治療の勉強を始めたのですか?

長谷川:そうですね。子供の頃というか15歳あたりから、自分でも腰痛と、両脚の坐骨神経痛がありまして。それがどこへ行ってもどんな治療をしても治らないので、どうして痛いのかということを知りたかったんです。

西田:ええ。

長谷川:色々な勉強をしてみたんですよ。現代医学は勿論のこと、カイロプラクティックやオステオパシーといった代替医療、中国伝統医学、あらゆる治療法を勉強して治療に取り入れてみました。

で、一時良くなるんですよ。でも必ず再発して戻ってくる。僕らみたいな仕事はそういうリピーターというか、帰って来てくれた方が有り難いんですよ。でも、性格的なものなんでしょうかね。完治させたいというか、二度と腰痛を起こさないようにしたい、というのがあったので、もう継続的にずっと調べていたんです。

それで日本国内の論文を調べてみると、あまりビシッとした治療法が見つからなくて、海外の論文を調べ始めて。そうすると腰痛に対する治療法、有効な治療法が存在しないということに気が付いたんですよ。

西田:あ、そうですか。

長谷川:ええ。これはアメリカ政府が調査した報告書で、きちんとそれが出ていたものですから。そうなるともうお手上げ状態ですよね。だからその場しのぎの治療しかできないわけですよ。

西田:ええ。

長谷川:腰痛というのは放っておいたってある程度の時間がたてば治りますからね。それじゃ僕らにお金を払って治療して治った人たちっていうのは、僕が治療して治ったのか、時間が治したのかがわからない訳です。だからそれはちょっと悔しいですね。せっかくお金を払っていただいてるし、僕たちも相当なお金をかけて勉強してますからね。それが、どうも自然に治るプロセスの時間と変らないっていうのはちょっと悔しいですよ。

西田:うーん。

長谷川:それでずっといろいろ調べていたんです。

西田:それでアメリカのニューヨーク大学の医学部の教授で、サーノ博士の開発した「TMS理論」ですか。これを長谷川さん、もっと分かりやすく説明していただけませんか?

長谷川:「TMS理論」、まぁ「緊張性筋炎症候群」というふうに訳していますけれども、一つはですね、正しい情報をまず知ってもらうことですね。もう一つは痛みの原因になっているものを知るということです。で、そこにアプローチすること。

まず正しい情報を知るというのは、僕の本の中で「呪い」という表現を使ってしまったんですけど、よく新聞や雑誌、テレビ、ラジオ、いろんな本もそうですけど、いろんな原因論がでていますよね。でもそれらをよく調べてみると、すべて科学的な根拠がないんですよ。

例えば、画像診断で椎間板ヘルニアがあるといっても、そのヘルニアの部分を摘出したって痛みが止まらない人はたくさんいますよ。それに、右側にヘルニアがあっても左側に症状が出ている人もたくさんいます。変形があっても痛い人と痛くない人がいます。腰が痛くない人のレントゲン写真あるいはCTやMRIを撮っても、痛い人と同じだけの頻度で病変が見つかるんです。だとしたら、それが原因だというのはおかしいじゃないですか。そこにまず疑問を持ってもらいたいんですね。

で、そういうヘルニアや骨の変形、老化現象が腰痛の原因じゃないということをまず知ってもらうことですね。それを頭の中に叩き込むこと。これはもう科学的に証明されていることですから。

ただ、それはいろいろな問題があって、一般の人たちには情報として伝わっていないんです。でも整形外科の専門家の方であれば皆さん知っているはずですよ。

西田:先生方もそういうことを知っているんですか? お医者さんというのは。

長谷川:専門家の方でしたら海外の文献を読んでいますから、それは知っているはずです。

西田:でもそれは患者さんに伝わっていないんですね。

長谷川:言うといろいろ都合の悪いことも出てきますからね。

西田:なるほどね。

長谷川:だって、今の保険制度が病名を付けなければ点数にならないんですよ。だから、「わかりません」では、収入には反映できませんから、食べていけないでしょう。病院を維持できない。だから何らかの病名は付けますよ。そういうようなシステム的な問題も大きく関わりがありますよね。

西田:なるほどね。

長谷川:で、もう一つなんですけど、その腰痛の原因です。身体の異常というのは、シミとか皺とかそういうふうなものが見つかったというだけなんですよ。レントゲンとかCT、MRIで見つかった病変というのは。今まで病変と言われていますけれども、それがあっても痛くない人はたくさんいるわけですから、ということはそれはただシミとか皺とかが見つかったという意味に過ぎないですよね。ですからその原因は何かっていうことを今度は考えていかなければならない。

その原因というのは、抑圧された不快な感情といいますかね、不快というのも本人か勝手に解釈した感情なんですけれども、そういうものが抑圧されているために自律神経という血管を収縮させてしまう神経がありまして、それによってそこの酸素欠乏がおきていると。そこで筋肉の痙攣だとか、発痛物質、痛みを起こす物質がそのまま溜まっていったり、神経を養っている血管が収縮してしまえば神経痛や神経の症状が出てくるわけです。

西田:そこらへんはわかりますよね。私たちにもね。

長谷川:だからそれは自律神経系を介して、つまり意思とは関係のない神経を介してそういういたずらが起きてしまうんですよ。ですから、その血管を収縮させている不快な感情を掘り起こしていくことですね。

西田:ほぅ。

長谷川:それは意識にある感情ではないんです、残念ながら。ですからそれを考えまいとしたり、こんなこと考えちゃいけないと、誰かに腹を立てちゃいけない、怒っちゃいけない、いつも怒っていたらあいつはなんだ、ということになりますから、社会的にも怒りとかは認められないんですよ。社会生活を営めませんからね。ですから、それを隠そうとするんですね。いつもニコニコしてたり。

西田:ふぅん、それが悪いんですかね?

長谷川:それで抑圧しちゃうんです。意識的にそれを隠すことを「抑制」と言うんですけど、無意識的にそれを隠すことを「抑圧」と言うんですね。で、その抑圧された感情が…。まあ一つの容器があったとしますね。その容器が一杯になったときにそれが意識上に浮上してくるんですね。嫌なことが。そうするとそれを考えちゃいけないって思うんですよ。自動的に起きちゃうんです。

西田:普通の人はそうですよね。

長谷川:小さい時からそういうふうに育てられてきているので…わがままを言っちゃいけないだとか、そんなことしちゃいけないだとか。ですから、そういうふうにインプットされているんです。もう条件反射的にそういうものを考えちゃいけない、年上の人は敬わなくちゃいけない、そういうふうになっちゃってる、それを押さえ込まなきゃならないというのが、自動的に起きちゃうんですよ。それでも出てこようとする。それの格闘戦ですよね。そうするとそれを考えないようにするためにはどうするか。痛みを作るのが一番手っ取り早いんです。

西田:ほほぉ。

長谷川:そうすると、その人の注意がその痛みに全部行っちゃうんです。だからそんな嫌なこと考える余裕なんかないわけです。

西田:ないですね。そっちの方に比重が行っちゃいますもんね。

長谷川:痛みなんか起きたらね、その人の注意は全部そっちに行って、どうしたんだろう、何が原因なんだろう、この先どうなるんだろう。で、病院に行って何らかの診断を受けます。代替医療に行っていろいろ言われますよね。

西田:民間治療なんかそうですね。

長谷川:そうですそうです。お金がかかる治療とかね。そういうふうに、そっちの方へ行っちゃうでしょ? そうすると身体の全部の注意がそっちに行ってしまうわけです。注意が行けば行くほど、その戦略に引っかかるんです。そのことを考えなくてすむから。じゃあこれを逆手にとろう、ということですよ。痛みから一回注意をそらせて自律神経を介して血管を収縮させた元になった感情を探すんです。

西田:ほぅ。難しいですねぇ、でも。

長谷川:そのプログラムがこの中で紹介されているんです。いくつかの方法を使ってそれを実行すれば、見つけられるんですよ。で、それを上手に見つけた人は痛みがスーーッと消えます。

西田:ほぅ。

長谷川:僕が経験した中で一番早いのは……そうですね、3分以内ですね。

西田:どんなことですか、それは?

長谷川:例えば、朝起きた時に痛くてベッドから起きられないという時に、TMS理論を知っている人が、まぁ、つい最近もあったんですけども、目覚ましにも手が伸ばせないぐらい腰が痛くて。そういう時にTMS治療プログラムのテクニックを使って全部痛みを消しちゃったりね。それは3分以内、まぁ5分もかからないでしょう。もっと早く痛みを消せた人もいますね。

西田:その、考えを新たにすると消える、ということなんですか?

長谷川:考えを新たにするというか、まず…。

西田:発想を変えるとか、いろいろあるじゃないですか?

長谷川:ですからその2本柱です。正しい情報を知ること。まず僕が呪いと呼んでいるものですね。どこ見ても腰痛は老化現象だとか、重いものを持つなとか、ヘルニアだからだとか。どの本にも書いてあるし、テレビでもラジオでも、どんな雑誌でも書いてありますよ。それは間違いだ、ということをまず頭の中に入れることです。全然意味のないことだと。それが第一歩ですね。第二歩目にその痛みを止める方法を身に付けること。そのためのいくつかの方法が紹介されているんです、この本の中には。

西田:この本の中には書いてあるわけですね。

長谷川:ええ。で、その前の『サーノ博士のヒーリング・バックペイン』という本が、読むだけでアメリカでは30万人が良くなったと言われている本なんですね。今ではもう50万人を超えていますけれども。これはちょっと専門的すぎて、日本人にはちょっと難しかったんですよ。字も小さいですしね。そうすると本を読まない方にとっては難しいので、今回の『腰痛は〈怒り〉である』というのは本を読まない人にも読んでもらおうということで字も大きくして…。

西田:ええ。これは問答式になっているんですよね?

長谷川:はい、問答式にしたんです。

西田:わかりやすいですね。

長谷川:ええ。できるだけ専門用語を使わないようには苦労したんですけどね。こういうふうにして読み砕いてやっていただこうということで、この本を出したんですよ。

西田:なるほどね。これは、腰痛に限ってお話をしているようですけれども、腰痛だけでもないようですね、そういう考えでいけば。

長谷川:そうですね。

西田:いろんな痛みにも適応されるんじゃないですか?

長谷川:そうです。腰痛以外の筋骨格系疾患、例えば、肩こりやら関節痛、そういうものもこれで良くなりますけれども、おもしろいのは心身症と呼ばれている胃潰瘍だとか、片頭痛だとか、蕁麻疹だとか、そういった幅広い症状にも効果があるという報告が届いています。

西田:今、長谷川さん、心身症という言葉が出たんですが、どうもやっぱり心身症という形になるんではないですか? その、心の持ち方とかいろんなことで痛みとなって現れるといったことを考えた時には、そういうお考えはないんですか? 腰痛も心身症の一環であると。

長谷川:そうですね。まぁ、心身症の定義というのがあるんですけど、あらゆる病気はすべて心の影響を受けますから、心身症といってしまったら全部の病気になっちゃうんですよ。ただ、筋骨格系の腰痛、肩こり、関節痛というのは、特に心の影響を強く受けているということがこの本を読んで治ったという事実からわかると思うんですよね。

西田:それは意外でしたよね。

長谷川:ええ。これは今までサーノ博士以外は誰も言っていなかったんです。僕も想像していませんでしたよ。僕は身体に原因があると思っていたから、身体についてずっと研究してきたんですよ。で、それで行き詰まったので今度こっちの方を勉強してみると、僕自身も腰痛と坐骨神経痛がありましたから、これを取り寄せて読んでみている最中に痛みが消えました。

西田:ま、胃ですとか心臓なんていうのは、その、気持ちの持ち方で随分と違うじゃないですか。でも筋肉までとはね、思わなかったですね、私も。

長谷川:僕もびっくりしました。

西田:ではやっぱり心を安定に保つということが大事なんですかね?

長谷川:いえ、それがだめなんですよ。

西田:安定にするということはだめなんですか?

長谷川:そうです。それが抑圧につながるわけですから。怒りを消したりとか、ストレスを解消したりとかそういうことがまずいんですよ。そこに意識があるわけで、それを何とかしようとしているわけでしょ? それを忘れようとしているわけですから。そこから目を背けようとしているわけですから。

西田:じゃあ、具体的どうすればいいんですか?

長谷川:それを見つめるだけですね。探し出して。

西田:見つめる?

長谷川:善悪の判断を抜きにして。例えば雪とか雨とかは善悪と関係ないですよね。単なる自然現象ですから。海や山だって自然現象です。それと同じです。

西田:自然を受け入れるということ、ありのままの姿を受け入れるということですか。

長谷川:そうです。怒りや喜びや悲しみも、自然現象なんですから。そこにどうして善悪の判断を加える必要がありますか? そんなことをするのは人間だけですよ。ま、社会システムがそういうふうに作り上げてしまっているから仕方がないですけど。ただそれを善悪の判断抜きに「あ、このせいで痛いのだ」ということを認識してくれればいいんですよ。

西田:ほぅ…。

長谷川:隠されている不快な感情、陰性感情というんですけれども、その量と痛みの量とはピッタリ一致しますから。

西田:例えば人間関係でね、非常にストレスに陥っていると。で、よくよく考えてみたらこういうことが原因ではないかな、と思った時にそれを素直に受け入れるということですか? わかりやすく言えば。

長谷川:そうですね。ただ、ストレスだらけの人でも腰痛を起こさない人はたくさんいるわけです。それは、自分で気づいているからなんです、ストレスがあることを。ストレスだらけの人で腰痛を起こす人は、それを無視しようとするんですよ。忘れようとしたり、俺はストレスない、といってみたり。面白いのは、慢性の腰痛の患者さんほどストレスについてちょっと過信、というか、「何か心にないか?」と言うと、ないって言いますよね。

西田:はぁ。

長谷川:これが面白いところで、「そんなこと考えたってしょうがないんだから」って。

西田:ほぅ。

長谷川:だから、そういうことから目を反らそう、目を反らそうとする人ほど危ないです。実はこういうことがあるんだ、こういうことで悩んでるんだ、と平気で口にできる人は抑圧したりしないので、もし何かあっても回復しやすいですね、不思議と。

西田:では表向き明るく振舞っているのに……。

長谷川:そうです。それを「タイプT」というんですけれども、TMSのTを取って。善良主義とか、完全主義とか、人に良く思われたい、出世したいとか、そういう上昇志向のある人、完璧主義の人、そういう人たちは危険ですね。

西田:はぁ。

長谷川:慢性の腰痛とか、心身症も含めてですけど、みんないい人ばっかりですよ。だから逆にいうと、腹黒い人ってなかなか病気にならないかもしれない。「憎まれっ子世にはばかる」という言葉がありますけどね。(笑)いや、これは本当かどうかわかりませんけれども。こういう長い間腰痛に苦しむ方っていうのは本当に頑張りやさんで、善人が多いです。

西田:はぁ、そうですか…。

長谷川:ええ。それだけに、非常に可哀想というか、何とか救いたいという気持ちになりますよ。

西田:私も実は2年程前に、朝、膝の所がこわばってましてね、お医者さんに診てもらったら「変形性膝関節炎」というんですか…。

長谷川:「膝関節症」ですね。

西田:ええ。そういう病名を付けられて、それからずーっと長谷川さんがおっしゃったようにいろんな民間療法をやったり、もちろん、お医者さんの所へもたまには行っているんですけど、そんなに悪くもならないし、良くもならないんですよね。で、筋肉はいつもこわばって、いいときもあるし、ちょっと調子の悪い時もあるんですよ。

長谷川:ええ。

西田:やっぱり、そういうのもその一環かもしれませんね?

長谷川:間違いなくそうですね。もし変形が原因であれば、この先毎日毎日老化していくんですよ。そうしたら痛みが軽くなるとか、忘れる時があるはずがないじゃないですか。どんどんどんどん老化していくんですよ。痛みがどんどん増えていかないと理屈に合いません。

西田:そうですね。

長谷川:それともう一つは、そういう変形、骨の変形というのは成長が止まった段階からもうすでに始まっているんですよ。これは自然現象です。だからそれも、シミとか皺があるよ、といわれたのと同じことです。もっと言えば、どんなに変形して軟骨がつぶれていても、本を読んで治る人がいる、というのはおかしな話じゃないですか。変形が消えるはずがないですよ、本を読んで。ヘルニアが3箇所もあって、本を読んで治るっていうのはどういうことですか? じゃあ、ヘルニアが原因じゃないと考えるのが普通じゃないですか。だって、本を読んでヘルニアが消えるはずがないですもの。

西田:ようするに、本を読んで痛みが消えるというのは、それほど理解しなくても、なんとなく漠然と痛みというものはこういうものに原因しているだとか、起因しているということがわかるだけで治る、ということですか?

長谷川:そうなんですけれども、誤った情報に毒されていますので、まずそれをどうするか、というのに非常に時間がかかりますよね。その痛みと腰痛との関係を納得するのに非常に時間がかかるみたいなんですよ。だから今、うちのインターネットのサイトでは、それをより理解させるために講義をしているビデオなどを販売していますし、グループミーティングといって、いろいろな人の体験を話す場として掲示板を使っているんです。で、うちのサイトは月間9000件のアクセスがある。個人のサイトとしては非常にアクセス件数が多いサイトなんですけれども、そこで治療されています。

西田:ほぉ。

長谷川:本を読んで治らなかった人はうちのホームページにアクセスしてきて、そこでみんなで治療しています。全国の人たちが集まって、全部ボランティアですよ。誰も得してないです。中には自腹を切って本を買って、友人にあげたりする人たちもいますしね。うちのサイトは善意の集まりなんです。みんなボランティアをやってくれているんです。それも接続料金をかけてですよ。

自分が治ったっていう喜びというか、今までお金をかけてきて、「治療貧乏」という言葉があるようにね、そういうお金をかけなくても治った人達が、嬉しくて相談に来たら親身になってアドバイスしてくれている。僕としては誇りに思っているサイトです。

西田:じゃあ、そういういろんな不安とか、怒りみたいなものをですね、そのまま受け入れることが痛みを解消していくんだっていうのは、まだこれだけのお話でも私ちょっとまだわからないんですけれども…。

長谷川:そうですよね。

西田:それをむしろ解消していくというのならわかるんですけれどもね。ま、受け入れていくっていうところにですね、ちょっとまだよくわからないんですけれどもね。

長谷川:受け入れるというか、見つめるだけでいいんですよ。そしてそれが痛みの原因になっていたということがわかればいいんです。

西田:あぁ。一種の安堵感はありますね。これが原因なのか、と。

長谷川:そう、身体のせいじゃない、ということがわかれば、もう半分以上クリアしたことになるんですよ。でも、そこが難しいんです。

西田:難しいですねぇ。

長谷川:右を見ても左を見ても、ヘルニアだ、変形だ、というものが原因だといわれているでしょう? それをどうやって頭から抜くか、ということですね。

西田:そうしたら、今の私の、自分自身のことなんですが、私はどう解消したらいいですか?

長谷川:まず、痛みがある場合…。

西田:まぁ、痛みまでいかないんですけどもね。

長谷川:なにか違和感があるという場合ですね。そのときは、「今日何があったのかな?」とか「今日誰と会って、どんなことを話して、どんな気分になったのかな?」とか、嫌なことがあってもいつもニコニコしていたとか、そういうようなことを書き綴ってもらったり、それを「ストレスリスト」と言っていますけれどもね。最近では「どついたる帳」と呼んでいますけれども。それには普段自分が使ったことのない言葉で、「ばかやろう!」とか、そういう言葉で書いてみたり。別に人に見せる必要はないんですよ。そういうことを見せたくなければ破って捨てればいいんですよ。そして、感情をちゃんと見つめておくこと。

西田:ほぉ。

長谷川:で、あと必要以上にそこに注意を持っていかないことですね。

西田:うーん。あんまりね、そんな大きなストレスもないし、自然体で生きているつもりなんですけどねぇ。

長谷川:そうそう、さっき言ったとおりのことですよ。そういう人はみんなストレスはないって言うんですよ。

西田:自分では感じないんですけどもねぇ。

長谷川:感じないというのは、「意識」レベルの問題なんですよ。「意識」で感じていることは全然関係ありません。問題は「無意識」にある感情なんです。それを掘り起こすのにちょっとテクニックがいるんです。そのテクニックをここに書いてあるので、それを実践するしかないんですよ。

西田:あの、長谷川さんの本の中でですね、まあ、瞑想にふける、というのか、そんなことも書かれていたんですが、それはやっぱり、どうなんですか、ストレスの解消の一環としてではないんですか?

長谷川:そういう意味でもないですね。ま、瞑想のストレス緩和作用っていうのはある程度科学的には認められていますけれども、そういうことじゃなくて、毎日ものすごく忙しくて時間のない人っていますよね? 一日を振り返る時間のない人。そういう人は一度心を鎮めてみたり、条件付けとか、そういうものをある程度緩和させるために瞑想を利用するということです。

西田:すると、現実に腰が痛いとか、その他関節が痛むなんて方はですね、とりあえずこの本を読んでもらうことですね、まず。

長谷川:そうですね。一度読んでみてほしいです。読んでる最中から痛みが消えていく人もいるんですよ。でも、人によって読書の苦手な人もいますから、読むだけでは無理な人もいるんです。そういう人は何回も何回も読むか、あるいはビデオを使うとか…。

西田:ビデオもあるんですね。先ほどお話していただきましたけど。

長谷川:その他に、インターネットにアクセスできれば掲示板で相談してみるとか。そうすると、全国の人たちからアドバイス受けられますからね。そういうシステムがもう構築できてます。でも、みんなボランティアなんでねぇ…。

西田:なかなかインターネットでというと、まあ難しい面もあるので、とりあえず本を読むっていうのと、ビデオを見るっていうのが一般的じゃないですか。ビデオはどこへ行ったらあるんですか?

長谷川:僕に注文してくれてもいいんですけど、今ちょうど富貴堂MEGAで2ヶ月間、「代替医療ブックフェア」というのをやっているんですね。そこでこの本に合わせて僕の講演のビデオも販売しています。

西田:そうですか。

長谷川:はい。そこで僕のビデオもテレビで流していますし。

西田:あ、なるほど。

長谷川:ええ。

西田:ちなみに、金額はおいくらぐらいなんですか?

長谷川:ええと、キャンペーン期間中で4000円になっているんですよ。でも、今月一杯ですから、それが終わると5000円になっちゃいますけどね。ただ、一回の治療費としては高いか安いか、ですね。

西田:安いです。

長谷川:それを何回も何回も繰り返し見るということ…。

西田:マッサージなんてだいたい3000円か3500円くらいですからね。それからみたら、ビデオの4000円というのは安いですよね。

長谷川:でも、一番いいのはこの1800円で治るのが一番いいですよね。

西田:(笑)なるほどね。ただ、本を読んで、何年も苦しんだ腰の痛みが治るなんて魔法みたいな話ですけどね。信じられないと言うか。

長谷川:普通は信じられないでしょうね。

西田:うーむ、なるほどねぇ。

長谷川:一番僕が嬉しいのは、旭川市立中央図書館で視力障害者の方のためにこれをテープに起こしてれたことです。全部で60分テープ7巻になったんですけど、これを市立図書館で視力障害者の人に限って無料で貸し出ししているんですよ。で、それを僕らのホームページでも、許可を得てね、何とか視力障害者の方に無料で提供できないかな、と考えている最中なんですよ。とにかく全国の人が今注目しているので…。今、海外の方でも注目を浴びているくらいです。サーノ博士一人の力で世界で50万人以上治したんで、これから僕の力でどのくらい、何万人くらい治せるのか、今頑張っている最中なんです。

西田:いやぁ、本当に是非。腰痛で悩んでいる人っていうのはもう年々増加しているんですね?

長谷川:人口増加率の17倍の勢いで増えています。これだけ医療が発達して、代替医療も増えて、その増えた数だけ腰痛患者が増えているんですよ。ここも疑問に思ってもらわないと困りますよね。もしいい治療法があったら患者さん減ってこなきゃならないですよ。それが増えているっていうのは、今までの治療法、現在の治療法や原因論ていうのはどこかおかしいんじゃないか、という疑問を持ってもらいたいですよね。

西田:でもなかなか難しいですよね。そうは言いつつも…。

長谷川:そう。「えらい人が言ってたから」「テレビで言ってたから」「本に書いてあったから」というふうに全部それで信用しちゃうんですよ。でも、人口増加率の17倍で腰痛患者が増えているっていうことは、これ大変なことですよ。そのうち日本人全員腰痛持ちになりますよ、このままだと。どこかで止めないと。

西田:そうですね。あの、長谷川さん、この本の帯に作家の夏樹静子さんの推薦文が入っていましたけれども、これ、夏樹静子さんは具体的にはかなり酷かったんですか?

長谷川:そうですね。仕事もできないくらいの腰痛で悩んでいましたよね。『椅子がこわい』っていう本でそのことがかなり有名になったんですけどね。夏樹さんの場合は、名医といわれる名医、もう全国の名医に診てもらったわけですからね。それこそ気功とか、カイロプラクティックや鍼などで診てもらったけどまったく効果がなくて、最終的には心療内科医が、それは心と痛みが関係しているんだということを説いて、それを納得した時に初めて痛みから開放されたんですよ。

西田:なるほどね。

長谷川:でも夏樹さんの場合、それは心身症だろうという意見もありますよ。ところが、この『腰痛は〈怒り〉である』という本を読んで、器質的にというか、物理的に椎間板ヘルニアや変形があって苦しんでいる人も治っているということは、そういう腰痛とか筋骨格系の疾患は、心からのアプローチで強力な効果が出るという証明ですよ。

西田:なにか話が尽きないんですけれども、またいつかこういう機会に、その後の状況などもまたお聞かせ願えればすごく嬉しく思うんですけれども。また何か新しい本を書かれているんですか?

長谷川:ええ。今、翻訳ものを一つと、この続編になるものを急いで出そうと考えています。

西田:そうですか。今日はどうもありがとうございました。ますますのご活躍をお祈りいたします。

長谷川:ありがとうございました。

西田:今日の日曜インタビューは長谷川淳史さんにいろいろとお話を伺いました。「本を読んだだけで腰痛が治る」 なんとも摩訶不思議な感じがしないわけではありませんが、。しかし一度は試す価値のあることではないでしょうか。読書に費やす時間と、1800円の本代で長い間苦しんだ腰痛が治るなんて、奇跡に近い話だと思います。この『腰痛は〈怒り〉である』という本は、市内の書店でお求めになることができます。私からも是非、お読みになることをお勧めしたいと思います。それでは今日の日曜インタビューを終わります。また来週お会いいたしましょう。


FMりべーる2001年5月15日放送

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